サイドバルブ - Wikipedia

サイドバルブ

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フォード・モデルT
サイドバルブ直列4気筒エンジン

サイドバルブ(Sidevalve engine、省略形はSV)とは、4サイクルレシプロエンジンの1形式。主要諸元表などには日本語で「側弁式」と表記されている場合も多い。また、シリンダーヘッドが平らな形をしていることから、「フラットヘッドエンジン」とも呼ばれている。

目次

[編集] 概要

ハーレーダビッドソン社製
サイドバルブV型2気筒エンジン
シリンダーヘッドを外した
サイドバルブエンジン
同、バルブスプリング側
この下にカムシャフトが位置する

DOHCSOHC自動車オートバイエンジンの主流となっている現在、すでに旧式となりつつあるプッシュロッド駆動式のOHV(オーバーヘッドバルブ)よりも、更に旧式の機構である。吸・排気バルブがピストンの上ではなく、シリンダーの横に並んで上向きに配置されているのが大きな特徴。これをクランクシャフト近くに配置されたカムシャフトで直接駆動する。

構造が非常にシンプルであり、エンジン本体(特にシリンダーヘッド)をコンパクトにすることができ、エンジン内部の駆動箇所が少ないために丈夫なエンジンになる。しかしその反面、燃焼室が横に長く広い形状になってしまうため、圧縮比を十分に上げることができない、燃焼室の表面積が大きく、熱損失が大きくバックファイアが発生しやすいなどの欠点を持つ。

また給排気の流れが非常に悪く、火炎伝播にかかる時間が長いため、エンジンの許容回転数も4,000rpm程度か、それ以下に制限されてしまうなど、どうしても最高出力が低くなってしまうというのが最大の弱点である。これらの欠点を解消すべく、レシプロエンジンの構造はOHV、更にはOHC(オーバーヘッドカムシャフト、SOHC→DOHC)へと進化していくこととなったのである。

第二次世界大戦当時の各国の軍用車両(アメリカ軍のウィリス・アーミージープハーレーダビッドソン・WLA、ドイツ軍のBMW・R12、旧日本軍の九七式側車付自動二輪車など)では、本国から遠く離れた戦地での劣悪な補給・整備事情も考慮した結果、整備性や信頼性の高さを買われて当時登場し始めたばかりのOHVを差し置いてサイドバルブ付きエンジンが積極的に採用された事もあったが、戦後になるとOHVやOHCの爆発的な普及により日本車ではオートバイは1959年の陸王・RT-2[1]、自動車では1963年のダットサン・キャブライトの生産終了を最後に純然たるサイドバルブエンジンは姿を消し、フラットヘッド型燃焼室も1973年の三菱・ジープJ3R型[2]を最後に姿を消した。

現在ではもはや自動車・オートバイ用機関としては成立せず、用途は発電機ポンプ用、一部の管理機用(マキタ沼津(旧・富士ロビン)製「ラーニー管理機」シリーズの一部)などの汎用エンジン(例・富士重工業製ロビンエンジン「EY(ガソリン)/EY-K(ケロシン)シリーズ」等)に限られている。しかしその汎用エンジンでも、近年の排出ガス規制の影響ですでに主力はOHV、更に上級機種ではSOHC(そのほとんどがホンダ製)に取って代わられてしまっているのが現状である。

[編集] 近年の動向

2007年スペインガスガストライアルバイク4ストローク化にあたりサイドバルブを採用する車両を発表した。燃料噴射装置を採用した水冷単気筒エンジンは、サイドバルブの特徴を生かし、トライアルバイクとして有利な、極めてコンパクトで軽量かつ低重心なものとなっている。

また、旧共産圏では軍用バイクとして近年まで、或いは現在でもサイドバルブ仕様のオートバイやサイドカーが生産されている事例もある。その代表例が中国長江・CJ-750ロシア(旧ソ連)のIMZ・ウラルである。どちらも戦前のBMW製オートバイのコピー生産品であり、長い期間戦前とほぼ同じ形態で製造され続けられている事から、比較的安価に入手可能なサイドバルブ車両として世界中でカルト的な人気を博している。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

[編集] 脚注

  1. ^ 本家のハーレー・ダビッドソンでは、サイドバルブエンジンはサービカー用として1973年まで製造され続けた。
  2. ^ J3R型ジープのJH4ジャパンハリケーンエンジンは吸気OHV・排気SVという構成であった。

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