四輪駆動 - Wikipedia

四輪駆動

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近代的な四輪駆動車のさきがけとなったジープ(Bantam BRC40)

四輪駆動(よんりんくどう)とは、自動車などの駆動方法の一種。4つある車輪すべてに駆動力を伝え、4輪すべてを駆動輪として用いる方法のこと。

目次

[編集] 呼称

このようなタイヤを5つ以上持つ車の場合、AWDと呼ばれる

略して四駆(よんく)。英語の four-wheel drive の略で4WD、または all-wheel drive の略でAWD欧州では、四輪のうち、四輪ともが駆動輪という意味で4x4( four-by-four、フォーバイフォー)とも呼ばれる。一般的な自動車が四輪であることから四輪駆動と呼び、五輪以上を装備する自動車では総輪駆動または全輪駆動 (AWD) と呼ぶことが多く、欧州流の表記では6x6、8x8などとなる。4WDは、日本語で読めるものはできるだけ日本語で読むのが好ましいとの立場からは「よんダブルディー」、「日本語 + アルファベット」の組み合わせを好ましくないとする立場からは「フォーダブルディー」と読まれる。

アメリカ国内にかつて「Four Wheel Drive」社が存在したことから、この固有名詞と区別するために、アメリカを中心に「AWD」と表すことが多い。

[編集] 概要

二輪駆動と比べると、四輪が駆動力を発揮するため、牽引力は大きく向上する。特に、駆動力がタイヤのグリップ力(路面との摩擦力)を上回り、空転が発生しやすい路面では、各タイヤの接地面にかかる駆動力を分散させることができる。このため空転を抑え、悪路での脱出性や高速走行性に優れるという利点がある。

反面、二輪駆動に比べて駆動系が追加されるので、構造が複雑でコスト高となり、重量と抵抗が増えるため燃費は悪化し、ばね下重量の増加は乗り心地にも影響する。また、ドライブシャフトギアが増えるので、騒音の面でも不利となる。

車体が旋回する際、外側と内側のタイヤに回転差(内輪差)が発生するが、一般的な自動車はデファレンシャルギア(以下、デフ)を備えており、1つのエンジン出力を2つの異なった回転速度に振り分けることによって、駆動輪の左右どちらかが強制的に路面とスリップを起こすことを防いでいる。

二輪駆動車は左右一対の駆動輪のためにデフを1つ備えているが、四輪駆動車では前輪の一対および後輪の一対のために少なくとも2つ必要である。さらには前輪と後輪の間でも内輪差が生じるため、エンジン出力が前後のデフに向かう前に、前後輪の回転差を吸収するためのセンターデフを備えているものもある。この場合は、1つのエンジン出力を4つの異なった回転速度に振り分けていることになる。

センターデフを備えない車種では、旋回時に前後輪の内輪差によってどちらかが強制的にスリップを起こすため、ブレーキが掛かったような現象に見舞われる。これはタイトコーナーブレーキング現象と言われる。また、低速で小回りなどをした場合は小刻みにスリップが発生するため、車体全体が不快な振動に見舞われることがある。

広く知られるジープのように、通常は二輪駆動で、滑りやすい路面など必要時にのみに四輪駆動に切り替えるパートタイム方式の四輪駆動車も存在する。この方式ではセンターデフを備えないが、四輪駆動での走行は滑りやすい路面であることが前提となっているため、上に述べた点は大きな問題とはならない。比較的機構が簡単で安価に製造でき、常時四輪駆動の場合ほど燃費を落とさずに済むメリットもある。

[編集] 歴史

最初の四輪駆動車は、1805年米国メリーランド州オリバー・エバンスが製作した浚渫(しゅんせつ)船だと言われている。浚渫船を製造した工場から陸路を輸送する為に、船に車輪が取り付けられ、蒸気機関の動力をベルトで前後輪に伝えることで走行した。それ以降も蒸気機関を使用した四輪駆動車は製造された。1824年ロンドンでウィリアム・ヘンリー・ジェームズによって作られた蒸気自動車は、四輪それぞれにシリンダーを持ち、デフを用いず、各輪の回転差を吸収するようになっていた。

電気モーターを使用した四輪駆動車も1900年ごろ、フェルディナント・ポルシェによって作られている。この車は、後にインホイールモーターと呼ばれる、各輪のハブに駆動用モーターを内蔵する方式で四輪駆動としていた。

ガソリンエンジンを用いた初の四輪駆動車SPYKER

ガソリンエンジンを使用した四輪駆動車は、1902年オランダのスパイカー兄弟によって作られた「SPYKER」が最初である。この車は、前進3速・後進1速のトランスミッションと、2速のトランスファーおよびセンターデフを介し、四輪を駆動する設計で、現代のフルタイム式四輪駆動車と基本的に同じ仕組みとなっている。

1903年には、オーストリア・ダイムラー社で、四輪駆動装甲車が開発された。この車は装甲と37mm機関砲を装備した回転砲塔を持ち、前進4速・後進1速のトランスミッションとトランスファーを介して四輪を駆動した。

また、T型フォードにおいても1910年代以降四輪駆動キットが販売され、四輪駆動化された車輌があったが、これは、走破性向上のためというよりも、専ら駆動輪である後輪にしか働かないブレーキを前輪にも作用させるためであった。

第一次世界大戦中、米国の自動車会社ジェフリー・モーター・カンパニー(ランブラー自動車の当時の社名)は四輪駆動トラックを設計・製造している。これはクワッド・トラック(Quad Truckまたはジェフリー・クワッド、ナッシュ・クワッド)として知られている。欧州で戦う連合軍に提供され、ジョン・パーシング指揮の下、重量級軍用用途に用いられた。

二輪駆動の自動車と同様、内燃機関の性能が向上するに従い、蒸気機関や電気モーターを使用した四輪駆動車は衰退していった。

1934年昭和9年)に日本陸軍が依頼し日本内燃機が製作した陸軍九五式小型自動車(くろがね四起)が日本で製作された。これが日本最初の四輪駆動車である。約4800台ほど製造され、太平洋戦争で偵察・伝令用など広く使用された。

1941年、アメリカにジープが登場した。ドイツ軍のキューベルワーゲンに相当する軍用車両として、アメリカ陸軍の仕様に対し各社の試作の中から(en)バンタム社の案が採用されたものだった。バンタム社は当然自社での生産を望んだが、実際には生産設備の規模や品質からほとんどが(en)ウィリス社とフォード社に発注され製造された。ジープは戦場の悪路を走破するための自動車として有益であることが実戦で実証された。このため大量生産され世界各地を走破した。ジープの活躍はそのため世界各地で注目を呼んだ。日本でも南方戦線で鹵獲されたジープを日本に持ち帰り、ボディは似せないように同類を製作するようトヨタ自動車に依頼したが、まもなく敗戦となった。

戦後の日本では、民間でも悪路を走破する車の需要が高まったが、当初は軍用車の払い下げや、焼き直しのジープ型程度の選択肢しかなかった。それでも、戦前(1930年代以前)の自動車しか知らない当時の日本人にとって、ジープの威力は技術において先を行っているアメリカのすばらしさを伝えるものだった。

1953年三菱・ジープが、ウイリスオーバーランド社との提携で警察予備隊向けにノックダウン生産された。三菱・ジープは、その後日本で生まれたモデルを加えていき、防衛庁以外にも販路を広げ、独自の進化を遂げながら1998年まで生産された。ジープは小型四輪駆動車全般の代名詞としても使われるようになった。

戦後、急成長した日本の自動車産業において、1970年代前後に相次いでふたつの転機が訪れた。1967年ホープ自動車軽自動車(当時は360cc)枠で本格的な四輪駆動車「ホープスター・ON型4WD」を発売した。この車両は後のスズキ・ジムニーの前身であり、四輪駆動車=大排気量車という形式に一石を投じた。一方、富士重工業は「ジープより快適で、通年使用可能な現場巡回用車輌」という東北電力の依頼を受け、「スバル・ff-1 1300Gバン」に、日産・ブルーバードのリヤアクスルを装着した「スバル・ff-1 1300Gバン4WD」を製作した。1971年東京モーターショーに参考出展され、話題を呼んだ。一般販売用としては、翌1972年レオーネ1400エステートバン4WDとして発売され、乗用4WDという新たなカテゴリを築いた。同じ頃日本国外では、ラリー競技で四輪駆動として初めて出場したアウディ・クワトロが活躍した。アウディとスバルは共に四輪駆動の乗用車の先駆けとなったが、どちらも縦置きエンジン前輪駆動の構造を持った車を市販していた為、比較的4WD化しやすい構造であった。

1970年代には米国のカウンターカルチャーの影響を受けた日本でアウトドアブームが起こり、四輪駆動車やクロスカントリーカーが流行した。この時点で、RVという日本仕様のレジャー車両の概念が形成されはじめた。その後、日産アテーサなどにより、四輪駆動技術が乗用車でも採用されるようになった。現在ではあらゆる車種に四輪駆動車が登場している。

[編集] 四輪駆動の種類と機構

[編集] パーマネント式(狭義)

永久直結式とも呼ばれる、最も原始的な四輪駆動方式。黎明期の試作的な四輪駆動車や、軍用車両農耕用車両の一部にのみ見られる。

前後の回転差を吸収するセンターデフを持たないことはもちろん、トランスファーすら持たないか、あるいは、持っていても二輪駆動の状態を選べないため、通常路面での使用や、高速走行にはまったく適していない。

また、前輪と同じ舵角で逆位相に後輪を操舵し、前後輪の軌跡を一致させる事で、タイトコーナーブレーキング現象を回避する例も存在するが、極端なアンダーステア特性の為に、スピードの向上には対応出来ない。

[編集] フルタイム式

フルタイム式4WD。エンジン出力はセンターデフを介して前後輪に配分される。
デフの直結スイッチの概要。ゲレンデヴァーゲンではコンソールにこれと同様のスイッチを備える。

パーマネント式(広義)、コンスタント式とも呼ばれる。常時全輪に適切にトルクを分配し、駆動する方式。前後輪の間にセンターデフを置き、旋回時や、前後輪のタイヤサイズの違いなどによる各輪の回転差を吸収する。

すべての駆動輪がデフを介しているため、一輪でも空転を始めると、他の車輪には駆動力が一切伝わらなくなる(詳しくはデフを参照)。それを回避するために、かつては少なくともセンターデフに直結機構を備えているものがほとんどであったが、現在では後述のスタンバイ式が主流となっている。

なお、軍用車両やオフロード志向の強いSUVゲレンデヴァーゲンなど)の一部では、走破性向上のために、センターデフのみならず前後のデフも任意に直結させることが可能である。

[編集] パートタイム式

後輪駆動を基本としたパートタイム式4WD。前輪への駆動の接続は運転者が任意に行う。

セレクティブ式とも呼ばれるもので、センターデフを持たない。通常は二輪駆動を基本とし、必要時にのみ四輪駆動に切り替える方式である。これは、タイトコーナーブレーキング現象の発生や、ハンドリングと燃費の悪化などのネガを解消し、通常路面での使い勝手を向上させたものである。

センターデフを持たないことによって、前後の内輪差はタイヤと路面の間での強制的なスリップによって吸収される。そのため、四輪駆動での走行は滑りやすい路面であることが前提である。四輪駆動のまま乾いた舗装路などを高速走行すると、タイヤと路面がスリップする際の摩擦力が大きいために、駆動系を破損する可能性がある。この種の車は、車両の取扱説明書にその旨が注意書きされている場合が多い。

切り替えは運転者の判断で、レバーやスイッチで、トランスファーのドグクラッチの断続を任意に行うものが長らく一般的であったが、乗用車を中心に、切り替えの自動化を図った後述のスタンバイ式へと移行している。

また、ランドローバーシリーズIのように、ワンウェイクラッチなどにより、前進時にのみ四輪駆動になる方式もある。

[編集] スタンバイ式

通常は二輪駆動で走行し、駆動輪が空転すると残りの二輪にも駆動力を伝達する方式で、センターデフを持たない。

乗用車などでは、二駆⇔四駆の切り替えを面倒と感じるユーザーが多く、また直結状態に気づかないまま、通常路面で連続高速走行をするなどで、車を壊すトラブルも少なくなかった。そこで、切り替えの自動化を図った方式が考案された。

最初に、ビスコドライブ社の開発による、頑丈な円筒形ケースに多板クラッチとシリコーン樹脂を封入し、前後輪の回転差で発生する攪拌熱によるシリコンの膨張で多板クラッチを圧着し、差動を殺すビスカスカップリングをリアデフの前に挿入した方法が生まれた。これは制御用のデバイスが一切不要で、特にフォルクスワーゲンが採用した初期の大型のものは、レスポンスや効きも申し分ない物であった。

その後、日本メーカーから、ビスコドライブ社へのパテント料の支払いが不要で、なおかつ製造も簡単で安価なトリブレード(3葉プロペラ)式やデュアルポンプ式が登場したが、これらはレスポンスが悪く、かなりの回転差にならないと完全に繋がらなかったり、逆に繋がりが唐突であったりと、洗練度に欠けるものであった。

また、ABSの普及により車速センサーを備える車が増えたことから、それを駆動輪の空転検知に利用し、自動的に四輪駆動に切り替わる方式が開発された。残りの二輪への動力の断続には電子制御の多板クラッチを用いており、その特性を生かし、必要に応じて伝達トルクを増減させ、なめらかに繋ぐ工夫がなされている。本格的なSUVでは、緊急時の脱出性を確保するため、任意に直結可能となっている車種も多い。

これらのセンターデフを持たないものでも、日本ではフルタイム4WDに位置づけられることが多い。これは、日本において四輪駆動車の代名詞的存在であったスバルが、これらをフルタイム4WDにカテゴライズしたためと、その他のメーカーも商品名にフルタイムを掲げたためである。

[編集] スーパーセレクト4WD

詳細は「スーパーセレクト4WD」を参照

三菱自動車の商標で、パジェロ等に採用されている。パートタイム式のギア・トランスファーと、フルタイム式のセンターデフの双方を搭載しており、パートタイム式だがフルタイム式としても使えるというものである。

重量がかさむと言う欠点があるが、パジェロなどの本格クロスカントリー車では、元々トランスファーに副変速機を持つため、センターデフを持つことによるケースの大型化や、それに伴う重量増加は、走行性能上さほど大きな問題とはならない。

[編集] セレック・トラック

詳細は「セレック・トラック」を参照

AMC時代からのジープのトランスファーの商標のひとつで、フルタイム式のトランスファーでありながら、直結4WDと、フロントへの動力を切る2WDが選べる。

トランスファーセレクターには2WD、パートタイム4WD-ハイレンジ、フルタイム4WD-ハイレンジ、ニュートラル、パートタイム4WD-ローレンジの5ポジションがある。2WDから4WDハイの各ポジションへのシフトは、80km/h以下であれば走行中も可能である。

2WDのポジションは、フロントの駆動系を切り離して抵抗を減らし、燃費を向上させるために設けられた。オイルショック後のガソリン価格の高騰から、燃費を気にするユーザーの要請に答えるために採用され、長距離にわたって良路を走ることが多い北米の実情に合わせたものである。

ローレンジでフルタイム4WDが選べないのは、大減速によって増加したトルクが一輪のみに集中し、ドライブシャフトや等速ジョイントを破損する事故を防止するためである。

[編集] 電気式

詳細は「e-4WD」を参照

エレクトリック4WDなどと呼称される。エンジンによる駆動軸の他に、エンジンの回転を発電機で電力に変えて、モーターでもう一方の車軸を駆動させる方式である。日本のパワーエレクトロニクス分野の発展により、発電機やモーターを搭載する重量増のデメリットが、プロペラシャフトによるそれと大差が無くなったことにより、レイアウトの自由度、特に前輪駆動ベースの車でもプロペラシャフトを意識することなく導入できるメリットの方が上回り、出現に至った。欠点として、前後にトルクが均等配分されないことや、発進時にだけしか動作しないこと等が上げられる。構造上、基本的に組み合わせられるトランスミッションATである。

[編集] 動力分散型

駆動する1つ1つの車輪に動力源を取り付けたもの。

内燃機関全盛だった20世紀においては主流にはなりえなかったが、それでも歴史は古く、フェルディナント・ポルシェによって試作されたモーター駆動の車両が1900年パリ万国博覧会に出品されている。

出力がほぼそのままタイヤの駆動力となることからエネルギー損失が少なく、4輪の動力配分を自由に決められる反面、既存のディーゼルエンジンやガソリンエンジンの場合、小型化に限界があり、また部品点数が多くなる、排気処理が面倒、スロットル動作の同調に高度な制御が必要なことから、実験的に作られた車両程度しか存在しなかった。

しかし電気自動車の場合は排気が無く、電力は配線を延長すれば良いだけなので、損失が少ない、室内が広く取れる等の理由から有利である。

三菱自動車のランサーエボリューションMiEVや、「全輪」駆動車ではあるがエリーカがこの方式を採用している。

[編集] 目的による分類

四輪駆動とする目的としては大きく分けて、スタックの発生しやすい雪道や泥濘地などの悪路を走破するためと、ハイパワーエンジンの強大なトルクを余すことなく利用することの2つがある。

一般的な乗用車や商用車、軍用車、土木・建築用機械などに用いられる場合は前者であることが多い。乗用車や商用車については生活四駆などとも呼ばれる。軽トラックには通常、四輪駆動仕様が設定されており、この場合は田畑のあぜ道等、未舗装道路の走破性を追求したものである。普通のセダンステーションワゴンおよび小型車、軽乗用車等では、積雪地向けの需要が多い。

逆に、よりスポーツ性能を重視した車種に搭載される場合は、後者であることが多い。 スカイラインGT-Rムルシエラゴなどはこの発想である。前述の「SPYKER」はこのスポーツ性能を重視した最初の自動車の一つである。

[編集] エンジン搭載位置

大半がフロントエンジンだが、リアエンジン4WDポルシェ・911スバル・サンバー、シュタイア・プフ社のハフリンガーなどに存在する。またミッドシップ4WDトヨタ・エスティマ(初代)、ホンダ・アクティスズキ・エブリィ(3代目)、ランボルギーニ・ディアブロなどの例がある。

[編集] 代表的な四輪駆動車

[編集] クロスカントリー・SUV型

[編集] スポーツ型

[編集] バス

[編集] 関連項目


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